自律神経ってなに?
自律神経は、内臓や血管、呼吸、体温など、私たちの「無意識の体の働き」を
24時間休まず調整してくれている神経です。
活動するための「交感神経」とリラックスや回復のための「副交感神経」があり、
この2つのバランスが崩れると、心と体の両方に不調が現れやすくなります。
疲れやすさ、動悸、不安感、胃腸の不調、冷えやのぼせ、眠れない……といった症状も、自律神経がうまく働いていないサインかもしれません。
バランスが崩れるとどうなるの?
・寝ても疲れがとれない
・息苦しい・動悸がする
・食欲がない・胃が重い
・不安感やイライラが続く
・体がだるくてやる気が出ない
・頭が重くて集中できない
・急に涙がでる、気持ちが不安定になる
このような症状が続いているときは、自律神経のバランスがうまく取れていない状態かもしれません。
ストレスや過労、環境の変化、ホルモンの影響などが重なると、
「休みたいのに休めない」
「気持ちは元気なのに体がついてこない」
といったアンバランスな状態になります。
オステオパシーでできること
オステオパシーでは、症状が出ている場所だけでなく、全身をやさしく丁寧にみていきます。
筋肉や骨格のアンバランス、内臓の緊張、頭蓋骨や仙骨のリズムの乱れなど、
体の “ 根本的な状態 ” を整えることで、自律神経の働きが本来のリズムを取り戻すのを助けていきます。
体がふっとゆるみ、呼吸が深まり、眠れるようになってくると、
心にも少しずつ余裕が生まれていきます。
病院では「異常なし」と言われたけれど、つらさは続いている——
そんなときこそ、体の声に耳を傾けてみませんか?
私たちは、日々をがんばるあなたの体にそっと寄り添いながら、
「自分で自分を回復できる力」を一緒に引き出していくお手伝いをしています。
【 症 例 】
自律神経の乱れで来院された30代女性のケース
◼ 基本情報
年代:30代女性
主訴:自律神経の乱れ(息苦しさ・疲労感・不安感)
初回来院時期:2024年10月
通院頻度:初期は1〜2週間に1回、その後月1回ペース
◼ 来院時の主な訴え
・朝起きても疲れが取れない
・胸のあたりがつかえ、息がしづらい 頭が重く、集中力が続かない
・食欲低下
・感情の起伏が激しく涙もろい
病院では「自律神経失調症」と言われ、薬を処方されたが、根本的な回復を感じられず当院に来院。
◼ 初回の所見
・首・肩に強い筋緊張(特に胸鎖乳突筋・後頭下筋群)
・頭蓋骨の動きに制限
・横隔膜の可動性低下と呼吸の浅さ
・仙骨など骨盤部の緊張と循環の停滞
・内臓機能低下(肝臓の緊張が強く下垂傾向)
表情もこわばり、体の中にずっと力が入っている印象。
◼ 施術と経過
初回の施術では、横隔膜と肋骨周囲の筋骨格、内臓を含めた全身の状態を確認しながら、
まずは呼吸が深まるようなアプローチを行いました。
特に横隔膜の可動性と肋骨の動きを引き出すことで、体幹部に溜まっていた緊張がやわらぎ、
「息が入りやす い気がする」とご本人も実感。
2回目以降も毎回、全身を丁寧に確認しながら、緊張が強く残っている部分と、
少しずつ整い始めている部分の両方を見極めながら、
回復の兆しが広がるように次の施術へとつなげていきました。
3回目頃には、後頭部〜頚椎・仙骨のリズムがずいぶん整い、呼吸が深まり、夜の眠りが安定してきました。
筋骨格だけでなく、内臓や神経系の反応の変化も見られ、施術後の身体の温かさ・表情の柔らかさが印象的でした。
5回目以降は、施術前から体の緊張が少ない状態で、施術の反応もよく、
頭部から足先までのつながりがより自然に感じられるようになりました。
施術者の手からも、「身体がようやくほっと力を抜いている」そんな変化が伝わるようになっていきました。
◼ 主な身体の変化(施術者視点)
・首〜肩の緊張が明らかに減少、可動域が拡大
・頭蓋骨の動きが左右対称に整い、リズムが回復
・横隔膜の緊張緩和により、深くゆっくりとした呼吸が可能に
・仙骨の動きが出て、脊柱全体の弾力が戻る
・内臓の位置・可動性が改善し、全身の流れがスムーズに
◼ ご本人の声(5回目以降)
・「朝のつらさが軽くなってきた」
・「深呼吸ができるのがうれしい」
・「最近、笑えることが増えてきました」
・「このままで大丈夫と思える時間が少しずつ増えてきた」
◼ 施術者からのコメント
自律神経に関わる不調は、自分でも“どこが悪いのか”わかりにくく、不安も強くなりがちです。
オステオパシーでは、症状のある部分だけでなく、からだ全体を見ていきます。
毎回施術の中で、緊張していた場所がゆるみ、次に現れてくる“まだ整っていないところ”を
体が自然と教えてくれるようになり、またそこに施術を行っていきます。
全身が少しずつ調和を取り戻すことで、ご本人も気づかないうちに、
「呼吸が深まる」「気持ちが落ち着く」「眠れる」などの変化が起こってきます。
この症例を通して、「治してもらう」のではなく、「自分の体が治ろうとしている」ことに気づく力を、
一 緒に育てていくことの大切さを改めて感じました。